推理ゲームその2「扉峰螺旋環」 解答編

先日書いた謎掛けの解答です。
問題とヒントは前回、前々回の記事を見てみてください。
当たり前ですが全面ネタバレです。
謎解きに挑戦していない人は見ないほうが賢明です。
それでは参りましょう。

最初に模範回答を言っとくと、

【犯人】
ネコ

【殺された3人】
ヒトリ、スピカ、かあさん

【殺された順序】
ヒトリ(撲殺)、スピカ(銃殺)、かあさん(銃殺)

【生き残った3人】
シロ:軽度の火傷を負うだけで生還
ピアノ:両腕を潰されたが生還
ネコ:顔も判別できない程の大火傷を負い、病院で死亡

となります。
以下、順を追って説明。

最初に、簡単にわかるところから。
シロの機能は「徹頭徹尾傍観者の役割を果たし、当事者にはならないこと」
ヒトリの機能は「誰とも会わず、子どもたちを監視すること」
この2人は自発的に他者に干渉することができないため、犯人にはなりません。

次に、各人物についての情報からわかること。
以下のルールが重要になります。

【機能のルール】
1.機能とは「自分はそうあるべき」という自分ルールです。
2.それぞれの人物は、自らの役割(機能)を行使することを優先します。
3.ただし、命の危機に瀕する、日常生活に支障をきたす、等の場合においては必ずしも機能や役割を優先しません。

【名前のルール】
1.登場人物の名前は、その人物の持つ機能を意味することを優先します。
2.その人物に機能が存在しない場合、名前は身体的特徴を意味します。

シロは「傍観者の役割を果たし、当事者にはならない」という機能を持った人物。もしくは、その機能を指す名前です。そして

生き残った3人のうち、2人はそれぞれ「シロ」と「ネコ」を名乗っていますが、もう一人は誰かわかりません。

上記より、シロを名乗る誰かは生存しています。
「シロ」という名前の役割上、事件の後に「シロ」を名乗るには、最初から最後まで事件に関わらず、傍観者だったということです。
もしも「シロ」が犯人や被害者になってしまうと、それは完全に当事者になってしまい、機能が破綻します。つまり、シロは最初から最後まで事件に加担せず、被害も受けず、見ているだけの空気でなければなりません。
これにより、シロは生存。かつ、犯人に危害を加えられていないため、軽傷であることが確定します。

続いて、かあさんについて。
かあさんの機能は「登場する子供たちを見守る役割」です。母親役ですね。
かあさん以外の子供が全滅しない限り、彼女の機能は完全に失われません。
そのため、名前のルール1より、かあさんが両腕を潰されて生還した場合、必ず「かあさん」を名乗ります。ただし、「顔も判別できない程の大火傷を負い、病院で死亡」した場合は、そもそも喋ることができず、名乗ることができません。

3人目、ピアノについて。
ピアノの機能は「ピアノを弾くこと」です。犯人、被害者、生還者のどれにもなり得ます。
ただし、両腕を負傷した場合は「ピアノを弾く機能」がなくなりますので、名前のルール2により、身体的特徴を意味する名前を名乗ります。
ピアノの身体的特徴は一切書かれていませんが、軽傷を除く生存者は「自称ネコ」か「誰だかわからない」の二択ですので、自動的に「自称ネコ」となります。
もしもそうなった場合、ピアノも猫目だったということになります。

4人目、ネコについて。
ネコには機能がありませんので、何にも制限されず自由に動くことができます。
また、両腕を潰されて生還した場合、必ず「ネコ」を名乗ります。
そして、大火傷を負った場合、「顔も判別できないほど」の記述通り、ネコの「猫目」は失われ、名前がなくなってしまいます。

5人目、ヒトリについて。
ヒトリの機能は「誰とも会わず、子どもたちを監視すること」です。
彼は犯人にはなりませんが、生き残ることもありません。
ヒトリが生存する場合、殺人は必ず露見し、外部に通報されるからです。
仮に一人目の犯行を、カメラの故障している場所で行うことができたとしても、2度目3度目は銃を使うことになりますので、気付かれてしまいます。当然、最初に殺される可能性が最も高い人物です。

6人目、スピカについて。
スピカの機能は「星を見ること」です。
そのため、視力を失わない限りスピカを名乗ることができます。
かあさんの時と同じ理由から、彼が生存する場合は「顔も判別できない程の大火傷を負い、病院で死亡」でなければなりません。
そのため、スピカとかあさんは同時に生存できません。必ずどちらかが殺されます。

以上をまとめると、

【まとめ】
A.シロは必ず軽傷で生還する。
B.かあさんは「生存(両手負傷)」かつ「自称ネコ」にはならず、死亡か生存(大火傷+正体不明)にしかならない(機能のルール1+名前のルール1)
C.ネコは「生存(両手負傷)」の場合「自称ネコ」になる。(名前のルール2)
D.ネコは「生存(大火傷)の場合「正体不明」になる。(身体的特徴の喪失)
E.ピアノは「生存(両手負傷)」の場合「自称ネコ」になる。(名前のルール2)
F.ヒトリは必ず殺される
G.スピカは「生存(両手負傷)」かつ「自称ネコ」にはならず、死亡か生存(大火傷+正体不明)にしかならない(機能のルール1+名前のルール1)
H.上記より、スピカとかあさんは同時に生き残ることはない。

と、まぁこういうことです。

この条件で生還者と犯人の候補を考えると、以下のようになります。

【犯人】
かあさん、ピアノ、ネコ、スピカ

【軽度の火傷を負うだけで生還】
シロで確定

【両腕を潰されたが生還】
ピアノ、ネコのどちらか

【顔も判別できない程の大火傷を負い、病院で死亡】
かあさん、ピアノ、ネコ、スピカ

そいつが最初にヒトリを殺害する可能性が最も高いので、それぞれが犯人である場合を考えると。

【かあさんが犯人の場合】
殺人は全て単独犯ですので、犯人であるかあさんは死にません。
まとめ(B)より、かあさんは「大火傷」かつ「誰だかわからない」になります。
まとめ(H)により、スピカは必ず殺されます。
最初にヒトリを撲殺したとすると、銃声のルールから、次の殺人でスピカもしくはピアノを殺した場合はネコに、ネコを殺した場合は残ったスピカとピアノの両者に気づかれます。
スピカは必ず殺さなければならないので、ネコに気付かれることを覚悟でスピカとピアノを殺すことになりますが、その場合、殺人の順序が判断できないため、回答不可能となります。

【スピカが犯人の場合】
殺人は全て単独犯ですので、犯人であるスピカは死にません。
まとめ(G)より、スピカは「大火傷」かつ「誰だかわからない」になります。
まとめ(H)により、スピカは必ず殺されます。
この場合も銃声がネックになります。
ヒトリの次にネコを殺した場合、1階にいるピアノとかあさんに同時に気づかれるため、3人目の銃殺は困難。
かあさんは必ず殺されるので、かあさん→ピアノの順か、ピアノ→かあさんの順で殺すしかありませんが、これも順序が判断できないので回答不可能です。

【ピアノが犯人の場合】
殺人は全て単独犯ですので、犯人であるピアノは死にません。
かあさん、もしくはスピカが生存者の場合、まとめ(B)および(G)より、自動的に「大火傷」かつ「誰だかわからない」になります。
また、両腕は犯人に潰されたので、両手を潰されたのはネコ、大火傷を負って生還したのがピアノ、ということになります。
この場合も、かあさんのパターンと同じく、ネコに気付かれることを覚悟でスピカとかあさんを殺すことになります。

【ネコが犯人の場合】
殺人は全て単独犯ですので、犯人であるネコは死にません。
ヒトリを撲殺→スピカを銃殺→最後の1人を銃殺、という流れであれば、途中で誰にも気付かれずに3人目までの殺害を敢行できます。
また、まとめ(B)より、かあさんは両腕を潰されて生存することができないため、自動的にピアノが生存者となります。
つまり、最後に殺されたのはかあさんで、ピアノは両手を潰されたことで機能を失い、名前のルール2に基づいて名前を「ネコ」と改めた、ということになります。

解説はこんなもんで。
上記4パターンの内、模範回答は最後の1つです。
もちろんそれ以外のパターンでも、各種ルールの枠内で実現可能なら正解でいいと思ってます。

…っていうか、難しく考える必要はあんまりなくてですね。

彼らが「機能を行使することを最優先する」生き物である以上、殺人を起こせるほどに自由なのは、機能を持たないネコぐらいしかいないんですよね。
ピアノもスピカも、人殺す暇があったらピアノ弾いたり星見たりしてますよ。だってそれを優先するのがルールなんだもん。
それに、ネコが犯人なら色々都合がいいんです。
他のメンバーに気付かれずに3人をさらっと殺せるのは、位置的にネコかヒトリしかいません。
ヒトリは引きこもりだから犯人にはならないし。
そして、「両手が潰される」ことが意味を持つのは、指でピアノを弾くピアノか、当事者にならないシロくらいです。
で、シロは最後まで何もせず空気だった、というのは、割と簡単にわかりますから、ピアノが両手を負傷する役回りというのも、まぁ特に難しく考えなくても何となくわかる人はいたと思います。
ってことは、その時点で生存者3人はわかるわけですよ。シロ、ピアノ、ネコです。ネコは犯人ですから、普通は自動的に最後まで生き残ります。まぁ大火傷ですぐ死ぬんだけど。
ちょっと待って、じゃあ「自称ネコ」って何?ってのが落とし穴なんですけど、そこで大事になるのが機能と名前のルールです。
まず、元々のネコが誰だかわからなくなる、というのはつまり、名前のルールの2つ目にある「身体的特徴」を失ったからです。
だって、顔が判別できないほどの大火傷なんですよ。眼球なんか当然無事じゃないですよ。
仮に喋ることが出来ても、猫目であるわけがないんですよ。だから「ネコ」は名乗れない。そして、名前のルールでは「身体的特徴を失った場合の名付けのルール」を定義していません。要はわからないんです。ここまでお膳立てされたら、あとはもう機能を失ったピアノの持ってる身体的特徴も「猫目」だった、とする以外にどうしようもないじゃないですか。
そして、それが正解です。

さて、そんな感じで、たくさん回答を頂いて「こういう解釈もアリかー!」と一人で大いに楽しめたので、僕はもう満足です。
納得いかねえ!って人はご質問やご指摘をいくらでもどうぞ。あ、できればTwitterでね!

なお、このゲームの元ネタは「扉峰螺旋環」というお話です。
元ネタの方は、このゲームよりもう少しわかりにくくて、唐突で、辺な縛りもあまりなく、そこそこファンタジーで、シロは空気ではなく主人公です。

「だってそうでしょう、シロ。機能は、目的があって初めて必要とされるのだから」
「僕らには、それがない」
「逆説、機能的である必要はないと思わない?」
「ああ、うん。そうかも」
「けれど機能を持つことを辞めることが出来ないのなら」
「機能性を削ればいい?」
「例えばスピカの目を潰すことも」
「或いは、ピアノの指をちぎることも」
「こどもの機能を奪うには、とても適当なことでしょう」
「その割に、加減をしないね」
「だって、私はヒトリもかあさんもスピカも、みんな嫌いだったもの」
「ピアノは別?」
「ピアノのジムノペディは大好き」
「ああ、うん。同感だ」
「機能は枷なの」
「どうして?」
「そうしていなければならない。或いは、そうせざるを得ない」
「うん」
「私達は、機能的であるが故に、機能を行使しなければならない」
「うん」
「けれど、ねえ、シロ。私はこんなにも自由なの」
「そうだね」

扉峰螺旋環。

このエントリーをはてなブックマークに追加

  1. コメントはまだありません。

  1. トラックバックはまだありません。